音楽配信代行サービスを利用してカバー曲を配信する場合に気を付けなきゃいけないこと。

以前、こんな記事を書きました・・・。

カバー音源制作と配信販売はそんなに難しい事じゃないのでやってみたらいいと思う

割とアクセスしてもらえてるみたいでありがたいですが・・・ちょと文章的に雑多な感じになってる気もします。そういう文章ばっかり書いてきてるので・・・。
書いていることは大きな間違いはないとは思うのですが・・・わかりづらいかもしれない(^-^;

そしてTwitterのタイムラインに流れてきた記事を読んでみました。

自分もお世話になっているTuneCore JapanさんのTwitterで共有されていて、文章としてもサービスが書いているようになっているみたいですが・・・。
その中で気になる点があったので引用。(2021年1月30日時点)

6. 権利確認

カバー楽曲の場合、下記リンクから、あらかじめ作品コードを確認して欲しい。登録の際に、作品コードおよび著作者(作詞・作曲)の情報が必要になる。またJASRACやNexToneなどが配信権を管理していない場合は、著作者の許諾を取る必要がある。またカバー楽曲でなくとも登録する音源・画像・情報・内容に権利的な問題がないか確認しよう。タイプビートを使用する場合はリースにせよ購入したものにせよ、使用証明できるように記録を残しておく必要がある。

”この中でカバー曲の場合はJASRACやNexToneが配信権を管理していない場合は、著作者の許諾を取る必要がある。”
これは当然必要な事ではあるけれど、十分ではない事には気を付けないといけない・・・。

そう思って、今回改めて記事を書こうと思いました。

音楽配信代行サービスのFAQでのカバー曲の配信について

個人的に利用しているサービスがTuneCore JapanとBIG UP!で、今はそれ以外にも沢山あってそれらすべてを確認したわけではないですが、とりあえず例としてこの2サイトのを見て見ます。

2つのサイトのFAQを見てみる

TuneCore Japan

カバーする楽曲の正当な権利者から許諾を得て頂ければ、配信する事は可能です。

注: 楽曲にアレンジを行う場合は、著作者から許諾を得る必要があります。

このようにカバー許諾が必要なことは書かれています。

続いて、BIG UP!

こちらのページの下のほうに書いています・・・。なので、その部分引用で書き出します。

カバー曲はデジタル販売可能でしょうか?

可能です。権利元の出版社に許諾をとって下記宛に許諾証明を送付いただきますようお願いいたします。
ご送付先 staff@big-up.style

ということで、こちらも許諾が必要と明記されていますし、証明書の送付が必須になっています。

TuneCore Japanの楽曲にアレンジを加える場合は・・・という注釈の「アレンジ」がどこまでがアレンジとなるのか?っていう解釈の問題もあるような気がしますが・・・

完全コピーならオリジナルのアレンジをそっくりそのままに演奏することだと思うので「アレンジ」にはならないと思うのですが、原曲の雰囲気を損ねない程度でもそっくりそのままではない場合はストレートカバーっていう表現もあったりします。そこに解釈の落とし穴があったりするような気がして注意が必要かなと思います。

TuneCore JapanとBIG UP!での登録時の違い

どちらもサイトを利用していますが、TuneCore Japanではカバー曲の場合、作品登録の際に作品コードも入力することになっています。実はこれはカバーではなくて自分の作品でも音楽出版社と契約を結んでいる管理楽曲になっている場合は必要です。そして、実際のところこちらではカバー曲の配信の際に許諾書を提出したことは今のところありません。

なので、最初にリンクした記事自体間違いではないのですが・・・これだと実際のところ著作者にカバー許諾を得ずに審査が通ってしまう可能性もあるのではないかと・・・。

ちょっと宣伝(笑) 直近で登録した楽曲はこちら↓

こちらのカバーにあたっては制作する前に音楽出版社にカバー申請をして許諾を得ています。

そしてBIG UP!のほうでは作品コードを入力する形ではなく、著作権管理に関しては自己管理、パブリックドメイン、JASRAC、NexToneから選ぶようになっています。そして実際に著作権の権利者となる音楽出版社を入力するところもあります。こちらもカバー曲以外での自作曲でもそのようになっていたと思います。カバー曲の場合は先ほどのFAQにあったように許諾書の送付を義務付けられています。

恐らく他のサービスでも基本的にカバー曲を配信するためのルールは登録方法は違っても変わらないはずですし、変わってはいけないはずです。

”カバー曲を配信する”ことについては分けて考える必要がある

著作権管理団体とか著作権者とか・・・管理楽曲とか・・・実際ややこしい。JASRACやNexToneで全部済ますこと出来ないの?って思うけど出来ない(笑)
「管理楽曲の使用」っていう表現が著作権管理団体でも音楽出版社でも書かれています・・・。それはそれぞれの管理している権利区分が違うからっていうことなのでややこしい(^-^;

この段落の見出しに書きましたが・・・カバー曲配信するっていうのは次の2つに分けて考えないといけないのかなぁ・・・と。

①既存の著作物(他者の作品)をカバーすること

②著作物(カバーに限らず)を配信すること

砕けた表現すると・・・①をするにはカバーしていい?って作った人に聞く事が必要で②をするには配信していい?って著作物の権利をもっている人に聞く事が必要。
そのうち①に関していいよって言えるのは「音楽出版社」とか作者(およびその作者の権利継承者)で、著作権管理団体のJASRACやNexToneにはいいよって言えない。
②の配信していいよっていうのは「音楽出版社」や作者(およびその作者の権利継承者)が著作権管理団体に色んな手続きを任しているのでJASRACやNexToneがいいよって言える。

そんな感じだったりします。

では①、②をそれぞれ・・・もう少し・・・

既存の著作物(他者の作品)をカバーすること

これは、さっきの「アレンジを加える」っていう範囲で色々あるけれど・・・直近で実はカバーについてJASRACに説明を改めて受けました。
基本的なことはわかっているつもりではありますが「カバーについて」ということで・・・。
ざっくり「編曲など改変をともなう使用に関しての権利を委託していない」という回答です。だからカバーしていいよとは言えないとざっくり書きましたが…
カバーっていうのは著作権法の20条にあてまるものだそうですが、だったら管理楽曲ではない曲なら勝手にカバーしていいか?っていったらそれは著作権が消滅していないものはダメなので、著作者に許可を得ないとカバーしちゃダメって話にはなる・・・のかな?
ざっくりかつ厳密にっていうとですが・・・。

なので、
既存の著作物(他社の作品)をカバーするには

作った権利を持っている人(著作者、音楽出版社)に許可を得るっていうのが一番砕けてわかりやすい表現なのかな?
でも、本来なんでもそうですよね・・・。

著作物(カバーに限らず)を配信すること

音楽を使うために守るべき権利っていうのがいろいろあります。その中で配信することに関する権利は、著作権管理楽曲についてはJASRACやNexToneが持っています。預かっているっていうほうがいいのかな?なので管理されている曲を配信するには配信する権利を管理しているどちらかに許諾を得たうえで適切な手続きをして配信出来るようになります。
ではこちらも著作権を自己管理しているものなら勝手にしていいか?っていったら・・・やっぱり違うわけで・・・。
権利もっている人に聞かないとダメですよね(^-^;

なので、
著作物(カバーに限らず)を配信するには

著作物の(配信に関する)権利を持っている人(著作権管理団体、著作者)に許可を得るっていうことになるかな・・・と。

著作権管理楽曲は権利が分かれていて自己管理楽曲は分かれていない

著作権管理団体が管理している楽曲についてはカバーに関する権利は音楽出版社や著作者がもっていて、配信する権利は著作権管理団体が持っているので、権利が分かれている。
だからそれぞれの許諾を得る、手続きをする先が異なることになります。

でも、自己管理は全部、自己管理なので権利が分かれていないから、許諾を得る、手続きをする先は同じになる。

ということかなぁ・・・。

配信に関する著作権使用許諾の流れ

自分の理解している範囲ですが・・・ちょっと表にした画像を作ってみました。

カバーに関する許諾ではなく、著作権管理楽曲に関しての配信利用の際の流れです。

こんな感じで大丈夫だと思うけど・・・JASRACやNexToneに許諾を得ないとダメっていうのは一番下のパターンです。

配信するサービス、サイトが著作権使用料の手続きや処理をしていない場合は自分でしないとダメ。逆に言えば自分で出来るなら自分のサイトでも配信出来るってことになります。

YouTubeやツイキャスなんかでカバーはどうなるの?

今回の記事は音楽配信代行サービスでカバー曲を配信する場合ということでの記事なのですが、配信の区分って確か、多分・・・インタラクティブ配信っていうのになってYouTubeとかツイキャスとかでの配信もくくりは同じだったような気がするのと、基本的に考え方みたいなのは同じだと思うので上の表に入れてみました。

「配信していいですか?」の部分は管理団体がサービスと契約結んで手続きしてるので「配信してもいい」けれど…
それじゃあ「カバーしていい?」っていうのはどうなるのか?

ごめんなさい(笑)
これまで割と知ってる風な感じで書いてきましたが、ここに関しては正確なことは理解していません(^-^;
でも、「いちいちカバーしていい?」の申請が無数にある動画配信、しかもライブで行われたりしてるほうが多いものに関して全部許諾がいるのかどうかっていうと、そこまで音楽出版社は対応しきれないと思うし・・・権利の解釈の問題とかで演奏権と配信権で処理してるのかもしれないなぁ・・・と思ったりです。

話が飛んじゃいますが・・・(^-^;
ライブハウスでカバー曲演奏するのもライブハウスが演奏権の処理、手続きをしているなら問題なく演奏出来ますし、カバー申請いちいちしないもんなぁ・・・。

サービス自体がカバー曲演奏していいよってちゃんと許諾を得てサービス提供しているなら安心していいのかなということになるかな。

そういえば、少し前に強者を見かけたのですが・・・。
Twitter(ツイキャスではない)で直接カバー曲動画だったかな?を投稿しているツイートがあったんだけど、そのツイートに許諾番号書かれてたような・・・。
Twitterは包括契約を結んでいないので著作権管理楽曲の配信許諾の手続きはされてないのですが、その人は個別に許諾を取ったんでしょうね・・・。

見間違えではないと思うんだけど(^-^;

音楽配信代行サービスでカバー曲を配信したいときはカバー許諾を音楽出版社や著作権者に得ましょう

あんまり話が飛んじゃうとまた前の記事みたいに雑多になってしまうので、今回はこの見出しのように少し限定的な場合に関しての結論としてまとめてみます。

途中で出てきた「アレンジ」の範囲がどこまで及ぶのかっていうことはありますけど・・・。
コピーではなく多少のオリジナリティを加えるなら間違いなくアレンジになりますしね・・・。
原曲よりテンポを少し落としたりあげたりっていうのもアレンジにあたるので、申請書にカバーにあたってテンポや構成、雰囲気を書いて提出する音楽出版社もあります。
会社によって違いますが、どんな感じのカバーなのか?とか企画書とか必要になったりする場合もありますから。

で、”カバー警察”みたいなことになっちゃうけど(笑)
あくまでも推測ですが、以前、これちゃんと許諾取ってる?っていうようなカバーが普通に配信されてました。

著作権の部分だけではなく原盤にかかる部分でも怪しげなやつで・・・。

聴いた感じ、何となくだけどカラオケの音源使用して歌重ねたような曲で、しかもこれちゃんと申請したとして許諾の下りる曲なのかな?
っていう経験則からくる勝手な憶測ですけどね(^-^;
でも、ちゃんと申請してたら失礼に当たってしまうので、それもまた気を付けないといけない。

そんなこんなではありますが、逆に言えばちゃんと申請して許諾を得られたらオリジナリティを加えたカバー曲を正式にカバー配信出来るっていうことですし、音楽出版社さん、正直カバー申請そのものに関してはそんなに邪険にしないですよ(笑)

許諾下りる下りないとは別の話ですが・・・。